2011/11/03

IIJ GIO を支える外側(DCコンテナ)を見て来た♩

この度IIJ GIO「松江データセンターパーク見学ツアー」へ行ってきました〜

ヾ(●´▽`●)ノ彡☆

皆さんは会社の業務一環として自前(もしくは借りている)データセンターは見た事があると思いますが、クラウドを支えているデータセンターはあまり見た事がない、というか普通は場所、構成、すべてが謎に包まれているというのが一般的です。

セキュリティ問題から大人の事情まで、色んな理由でそのようにしている場合が多いのですが、 それ故にパブリッククラウドを攻め落とさんとするプライベートクラウドの格好のターゲットとして「パブリッククラウドは、どんな構成で組まれているか分かりません。つまり足下はBlack boxですよ?セキュリティとしても心配だから、プライベートクラウドを構築しましょう」というプレゼンをよく見かけます。

パブリック vs プライベートのどちらがいいかはさておき、パブリッククラウドとしてIIJ GIOの松江データセンターパークを見学する、という機会を頂く事が出来、ある種の感動を覚えました。この場を借りてIIJの皆さんにお礼申し上げたいと思います。
有り難うございました。

是非他のクラウドのデータセンターを見たいですね(ちらっ

今回の見学ツアーに参加された方々は、よくブログやTwitterなどで拝見するインフラ(IT)業界でも凄腕の方ばかりでした。

一覧を見たときは
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

と心配でしたが、むしろ色んなお話を聞く事が出来て面白かったです。

IIJ GIO「松江データセンターパーク見学ツアー」の前後に関しては以下のブログをご覧ください。
目次録
  • IIJ GIOって何? 
  • なんでコンテナタイプなの? 
  • 外気冷却について 
  • イベントを通して見た日本のクラウドについて 

IIJ GIOって何? 

IIJ GIOはIIJがやっているクラウドサービスです。
IIJ GIOのHypervisorは(たぶん)Microsoftが出しているHyper-VとXen です。
そしてIIJ GIOのラックを収納しているデータセンターは、コンテナタイプで外気を取り込む冷却方法を使っています。
いわゆるパブリッククラウドと呼ばれるクラウドになりますが、GIOの使い方としてはプライベートクラウド的な使い方など、顧客がなし得たい事を力の限り対応しているそうで、あまりパブリックだから、プライベートだから、という区切りは意識していないそうです。 IaaS, PaaS, SaaSの切り口での展開もしており、用途に合わせて選ぶ事が出来ます。

IIJ GIOのサービス内容 >> http://www.iij.ad.jp/GIO/service/

まずIIJ GIOについてのサイトや、今までの資料などのURLを列挙します。
後は松江データセンターパークに関しては以下の記事も参考になります。
IIJ GIOについての説明

説明について熱が入ります!


なぜコンテナタイプなのか? 

今までのデータセンターはビル型でした。今でもビル型の方が多いと思います。
サーバーは稼働させると熱を持つので、冷やさなければいけません。 ビル型の冷却方法はこのような感じでした。
 
お風呂を思い出してもらうと分かりますが,暖かい空気は上↑に、冷たい空気は下↓に溜まります。なので、床下にクーラーを置いて、下から送風し、ラックを冷やし、ラックにあるサーバを冷やし暖まった空気は上に流れて行きます。

だから手がかじかむときはファンの方で手を温めたりしますね(関係ないw。
これは今までのデータセンターは人が入る事を前提としていた為、作業出来るようにスペースを作っておく必要がありました。

仕方が無いとはいえ、冷却の面から見るとビル型データセンターは無駄なスペースがあったのです。


しかし今やクラウド時代。ラッキングや、暴風の中で、作業をする必要がないデータセンターだとしたら。。。この無駄を省く事で、電気の節電が可能になり、そうする事で、最終的にはエンドユーザーの利用料金の値下げが出来るようになります。

人が入る事を前提としてない

どのくらい効率がよいかというと電力密度(全体面積に占める実効電力)はビル型の4倍以上になるそうです。
後にも出てきますが、コンテナタイプは人が入る事を想定していません。データセンターに出入りしていた人間から見たら不思議な感じもしますが、人は入らなくてもいいのです。

IIJ GIOが利用するコンテナには現在2種類あり、新しいのも企画中だそうです。

IZmo W
  • これはトレーラーで輸送する(道路申請など色々大変) 
  • 人が入り易いスペースを確保 


 IZmo S
  • 大型トラックで輸送(簡単に運べる)
  • 省スペースタイプ;

IZmo ISO
  • 企画中だそうです!


全部データセンターパークまで車で運んだ後、クレーン車でつり上げ、パーク内に配置し、器具を使いスライドさせて所定位置まで運ぶそうです。

またコンテナ内にどうやってラック、サーバを設置するか、というと何タイプかあり、
  1. コンテナだけパークに運び、設置後、ラックを積んで、サーバを積む、 
  2. コンテナにラックを既に登載して、パークに運び、サーバを積む 
  3. コンテナにラックとサーバを出荷所で積んでしまって、パークまで運ぶ 
という事が可能だそうです。
(3)に関しては、サーバを作っているメーカーの工場内にコンテナを置いて作業をする事で、サーバの梱包をする箱や発砲スチロールなどの無駄なゴミが出ないとの事。

この出荷所は現在3カ所あり、全部を積んだ状態で車で運んでも中のサーバに影響が無い事を確認済みだそうです。

by IIJ GIO

IZmo Sに関しては、サーバのサイズに制限がある為、現在IIJのコンテナタイプにあうサーバ開発をしようと共同でメーカーと動いているそう。

このコンテナは、設備機器、もしくは建築物のどちらでも申請をする事が出来るそうです。
最初この違いの意味が分かりませんでしたが、国土交通省にIIJは掛け合い、このコンテナ型データセンターを設備機器として登録出来るようにしたそうです。

この設備機器建築物の一番大きな違いは、人が常時出入る、という違いらしいです。この通知によれば、

法第2条第1号に規定する貯蔵槽その他これらに類する施設として、建築物に該当しない ものとする。
http://www.mlit.go.jp/common/000138783.pdf

という事らしいです。つまりマンションの屋上にある水が溜まっている貯蔵槽と同じ扱いですね。時々定期検査はするけど、いつもは無人。

この設備機器として登録が出来る事で、建築物として申請しないと行けない諸々の申請や設置を省く事が出来、結果全体としてコストを下げる事が出来るそうです(もちろん火事や地震などの災害に対しての設備設置はしていました)

外気冷却について

大規模なデータセンターを運営する会社(GoogleやMicrosoftなど)は外気を取り込んで冷却する方法が採用されており、このような方法を使ったデータセンターの冷却実験、実稼働に向けての準備が進んでいるようです。

IIJ GIOの松江データセンターパークでも外気を取り入れる方法を採用しており、その辺りを詳しく聞いて来たので、以下の図で説明します。

ビル型データセンターは各階まで電源配線をする必要があります。
電源配線と言っても相当な電流が流れているので、各階まで電流を引いている間に放電をし、 ビル全体の電気使用量の約5%は、その放電によって逃げているそうです。そして屋上などにある室外機に熱風を逃がす配管も各階から引く必要もあります。

それをすべて一直線に置き、配線や、ダクトを短くする事で、エネルギーロスを減らし、設備コストを下げる事が可能になるそうです。

PUE*1の数値では、従来型データセンターは2だとすると、松江データセンターパークタイプは1.2との事。

また外気冷却方法を取り入れる際に、外気とコンテナ内の温度と湿度を監視し、
コンテナ内の
  1. 温度が上がって↑来たら
    1. & 外気が低ければ↓ => 外気を取り入れ、
    2. & 外気が高ければ↑ => クーラーを付け
  2. 温度が下がって来たら↓ => 外気を取り入れ
サーバ達にとって快適な温度湿度を自動で保っているそうです。

Σ( ゚Д゚) スッ、スゲー!!

実際の実験動画がYoutubeにあるので、それを見ると、サーバの温度を適切に保っている事が分かります。



イベントを通して見た日本のクラウドについて

クラウドという言葉は、ここ1〜2年で大きく取り上げられ、ある種のバズワードになっていました。クラウドの利用目的も、利用方法も今までとは違う場合が多く、(インフラ)エンジニアは、新しいリソースの使い方を習得し、より良くIaaS/PaaS/SaaSを業務の一環として使えるべくレベルをあげて行きました。

日本でも今までの提供しているサービスレベルや料金体系、そしてインフラの考えそのものが変わって来ている今、クラウドを提供しているサービスプロバイダー自身も、今までのデータセンター上でのサービスを右から左へクラウドにすり替えて提供するのではなく、クラウドに特化する事で、サービスレベルにおいても、料金上でも、クラウド時代に合った物を提供出来るのではないか、と思いました。

海外のクラウドサービスに対して、日本のクオリティでクラウド提供する、と言うのは簡単です。でも私たち日本人自身も、クラウドでいう日本のクオリティが何なのかよく分かっていません。

しかしこのIIJ GIOのイベントや、サイト、Twitter、Facebookなどの広報を通して、サービス詳細やそれを構築している過程、結果を公表する事で、わざわざ「日本」と付けなくても世界で生き残って行けるクオリティなのだと、証明する事が出来ると思いました。

IIJ は、一つ一つの機器(空調や、コンテナ、電源など)を取り外し、取り付けを簡単にする(仮想化する)事で、データセンター自体も一つのコンピューターとして扱えるようになるそうです。

欲しい時に増やして、問題があれば問題がある部分だけ取り替える、そんな事が出来るようになる。

データセンターという規模でその発想が出来るのは、やっぱり今後クラウド業界を含めたインターネットについて考えているからこそ出来るんだろうなーと思いました。

(ОД○*)ス・・スゴスギル!!!

今後IIJ GIOの取り組みに更に注目して行きたいと思います!
皆さんもぜひIIJ GIOの資料などを見て、サービスの検討をしてみてください。資料を見るだけでも参考になると思います!

今回の「松江データセンターパーク見学ツアー」有り難うございました!
次は 「[その他]島根を満喫してしまった 」をお楽しみください!

*1: Power Usage Effectiveness: データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値。最も効率が良いデータセンターはPUEは1.0になる