2012/02/27

レゴ・シリアスプレイを体験して思った事

先週、FBで知った「レゴ・シリアスプレイ」という手法を使ったイベントに参加してきました。

☆「レゴ・ブロックを使った“ビジョン創りから組織改革”」☆
 〜そのサワリを体験できる勉強会を開催!〜
http://www.facebook.com/events/341587372528059/

参加して知った事、思った事をレポートします。長いです。
 レゴ・ブロックを道具に使う、ユニークなアプローチで、
  • 組織のビジョンや将来像創り
  • 新たな戦略立案
  • 創造性の開発
  • 個人のキャリア開発
  • チームビルディング
といった、組織の抱える課題を可視化し、組織に内在する知恵を結集して、解決へと導くそうです。
レゴ・シリアスプレイはコンストラクショニズムという考えが元になっているそうです。
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まず登録者は事前に決められたグループに入ります。個々にジップロックに入ったレゴを渡されます。レゴは45個。
レゴを数える時から個人差が出ます。
一つ一つ数えて行く人と、レゴを形、色でペアにして数えて行く人。。 分かり易さで言えば同じパーツをペアにしてあるべきパーツを確認した方が良さげでした。



参加者が準備が出来た事を確認後、蓮沼孝氏から、レゴシリアスプレイについての概要説明、事例紹介がありました。

 その後参加者は全レゴを使って「4x4のレゴを土台にして一番高く積み上げた塔」という作品を作ります。

私はレゴが家にあって子どもの頃から触っていたのですが、使い方が固定化している事に気づく作品作りでした。
私の使用方法が固定してあまり高くならなかった塔 真横にレゴをさしてどんどん高くなっていた塔

その後気になるレゴを10個選択します。選択したレゴで、「不思議な犬」を作ります。
もちろん10パーツしかないので(しかも選択する時に、何に使うのか知らされない)、不思議、というより犬に見立てる方が難しい状況の方が多かったです。

作った犬に名前をつけてあげます。
私が作ったのは、砂漠に住んでいる犬、アイランド

その後もう一つレゴを選びます。そしてそのレゴを使って「不思議な犬」を「スーパードッグ」にします。
ここで自分が作った犬を通して自己紹介をします。「不思議な犬」がどのレゴで「スーパードッグ」 になったか、そしてその「スーパードッグ」は作成者自身で、作成者がどんな人間なのか(性格など)、どんな事をしたいか(夢など)を3分ぐらい話します。
不思議な事にグループ内で作った犬は、その人自身が反映されているようで、ロックな犬とか、のんびりしている犬など短時間ですが普通の自己紹介をするよりも、よりよく相手を知る事が出来ました。

砂漠に住むアイランドは、赤い爪を付ける事で砂の中を掘って砂漠内を進めるスーパードッグになりました。

グループの皆が作った「スーパードッグ」

レゴを使って自己紹介をする事で、相手の内観をグループで共有し、より相手を知る事が出来ました。また相手が意味する単語一つ、形一つでも人によっては違う意味を捉えている事が多いという事を理解する事が出来ました。


自己紹介が終わりグループが他人じゃなく知っている人になった所で、手元にあるレゴで、今回のイベントのお題でもある「最強チーム創り~異なるバックグランドのメンバーで、スーパーな福岡の未来図を創る」を作ります。
 
未来の福岡はどうなっているのか?何が必要なのか?何があるべきなのか? をレゴで思い思いに作ります。
最初は人形抜きで作成し、作成後、その未来の福岡に対して自分はどこに居るのか、どう関わっているのかを人形を配置して表現します。

私が考える未来の福岡は、風通しがよく明るく照らされている福岡。安全に市民が生活出来るよう必要機関が正しく機能している福岡。そして様々な人達、シングルファミリー、老人、若い人、夫婦、障害者がより生き易い福岡。そして自分はその人々達の声を聞きそれを適切に伝える事をしていたいと思いました。それを表現した作品がこちら。


他の皆が作った作品も素晴らしくこんな福岡だったら素敵だな、と思う物ばかりでした。

そして個々の未来の福岡図作品を、自分で説明するのではなく、隣の人と席替えをし、隣の人が、「作品」と「作品を説明する3文字の漢字のみ」で理解しグループ内で説明をする、という方法が取られました。
これをする事で、自分が見落としていた視点や、新しい可能性に気づかされるきっかけを得る事が出来ました。またグループ内で個々の考える未来の福岡図を深く共有をする事が出来ました。

個々に3文字の漢字からさらに1文字を選択し、グループでその漢字を合わせた未来の福岡図をグループ内で作成します。
我がグループが作った「Funky Monkey Fukuoka」
海上に作られたアミューズメントパーク。楽しさ盛りだくさんで、福岡に来たらここに行っておけ、というランドマークになる予定


グループで作ったレゴは、面白さの方が先に来ていて他のチームに比べたら真剣さが足りなかったかもしれませんが、最高に面白い作品作りでした!

その後他のグループの説明を聞きに行くチャンスを貰い、他のチームが考えた未来の福岡図について聞き、自分のグループと掛け合わせたらもっと良くなるチームを選択します。
個々のグループの表現も違うし、思う未来の福岡も違い、なるほど〜と思う事がとても多かったです。


今回のイベントは時間の都合でここまででしたが、通常は一日コースで、さらにグループをまとめて一つにビジョンやアイディアを作り上げて行くそうです。

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このレゴ・シリアスプレイを体験して感じた事は、グループ内の相手をよく知り、同じ目標を共有出来る、という事が一番大事なのではないか、という事でした。
レゴ・シリアスプレイは、レゴを使いながら右脳の解放して、新しいアイディアを出そう!という如何にもキャッチーな手法なのかと思っていましたそうではありませんでした。

そもそも右脳、左脳で分けて新しい画期的なアイディアを出す、という考えはもう古いのです。
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 03月号 [雑誌]
「脳」を知れば、人生が変わる

の中で「たいしたアイディアが出てこない、不毛なブレストはもうやめよう」
という記事に出ています。
重要な転換点は98年、ブレンダ・ミルナー、ラリー・スクワイア、エリック・カンデルの3人が「ニューロン」誌に、「認識脳科学と記憶の研究」という画期的な論文を発表した時だ。
〜略〜
新しい脳モデルは「知的記憶」といい、どのような思考様式においても分析と直感が脳内で協力して働くというものである。左脳も右脳もない。学習と想起があるだけで、それが脳全体でさまざまな組み合わせで起こるというわけだ。

このレゴ・シリアスプレイは、レゴで遊んでいる間に新しいアイディアが出てくる訳ではありません。右脳を活性化する物でもありません。
このワークショップを行う事でグループ(時には社員間かもしれない)内で、相手を理解しグループとしてより強固な関係を築き同じ方向を向く事が出来るのだと感じました。
またその向いた目標に対して、自分事としてどう関わって行くのか、参加出来るのかを具体的に考えさせてくれる機会も得る事が出来ました。

このワークショップを通して思い出したのが、以前マイクロソフトがやっていたCMで、
「社員力を経営力に ~ Microsoft」
というキャッチフレーズです。

過去に見た時は特に思う事もなかったのですが、社員一人一人の内観を表に出し会社という共同体に深く紐付けさせ、大きな目標に向かう事が出来たらそれは社員にも会社にも大きな力になるのだと思いました。
会社の根っこである社員が生き生きしていたら会社(木)全体も生き生きしてくる。木は根っこを理解し、根っこもお互いを理解し、木として木の一部として存在を肯定される必要があるのです。それが大きな力になる。

こんな事を書いたら社畜だとか、ブラック会社だか思われるのかもしれませんが、私たち人間は大小ながら何かしらの共同体に属し生きて行きたいと思っています。

それは家庭かもしれないし、コミュニティかもしれないし、会社かもしれません。

 日本では会社に割く時間が異様に長いため、会社 or nothingのように思われていますが、本当には色んな共同体に属し個々の共同体の中で受け入れられ、理解され、同じ目標に向かって行く事が出来たら、それは人間らしい生き方なのではないでしょうか。

レゴ・シリアスプレイを体験してみて、私が気づいた点は、自分が相手を理解しようとせず物事を進めて行く傾向があるか、という事でした。改善したいと思います。
自分がしゃべるだけではなく、相手からもっと内観を引き出し、理解し合い、物事をよりよい方向に持って行けるようにしなくては!!

こんなに長々書いてみましたが、レゴ・シリアスプレイは、文字で読んでも正直あまり伝わらないと思います。これは体験するしかない。
もしレゴ・シリアスプレイに参加出来る機会があれば是非参加してみてください。
きっと今の属している共同体、会社やコミュニティ、家族、人との関係の保ち方に一石投じてくれると思います。
この度はイベントを開催してくれたグローバル・ブレインズ株式会社の皆さん、 株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ蓮沼さん、参加者の皆さん、本当に有り難うございました!!

 レゴは本当に楽しいよ!